<映画と教育>シンポジウム無事終了!

こんにちは、シネモンドの土肥です。
11月13日、14日の週末に、金沢21世紀美術館で「こどもが映画をつくるとき <映画と教育>シンポジウム」が無事、終了いたしました。

遠くから金沢まで足を運んでくださった、参加者のみなさま、本当にありがとうございました。
(みなさまの感想をお待ちしてます!ブログにアップさせてください!)
そして、本当にお忙しい中、無理なお願いを聞いてくださった登壇者のみなさま、深く深くお礼申し上げます。
みなさまのお陰で実に熱く濃密な2日間になりました。

1日目はこれまでの<中等クラス>のこどもたちが集まってくれました。
中江監督が監修した2006年度のこどもたちはすでに中学3年生もいて、子供たちの成長した姿もうれしく、また、当時のことを大勢の前で話してく れる姿も頼もしかったです。
是枝監督はどうしてもいらっしゃれず、ピンチヒッターを引き受けてくれた当時のスタッフ、砂田麻美さん。ありがとうございました。あのとき、物凄 いプレッシャーの中、こどもたちと頑張ってくれていたのだということ、また、製作現場にもっと女子が登場していけるんだっていうことを子供たちは 感じ取ったと思います。
小柄な砂田さんよりずっと大きくなったこどもたちがうれしそうに砂田さんに近寄っていく姿が印象的でした。

金沢での取り組みを初等クラスの様子を映像で見ていただき、中等クラスのこどもたちの作品や各年度のメイキングを通してみることで、映画教室を一 度総括的に振り返る、ということが目的でもありました。
各年度の特別講師の監督たちのカラーが明確に出ていること、それと同時に、こどもたちに任せきることで出てくる子供にしかできないことが起こる瞬 間を確認することができました。

そして、最後には、映画教室の経験から自発的に、それも映画教室の友達と映画を作ってきてくれた女の子4人の作品をみんなの前で上映しました。タイトルは「セサミパンおそるべし」。演出は諏訪さん仕込みの“即興”で。大人の介入いっさいなしの、こども部屋で繰り広げられる本当に楽しみな がら自由に発想された映画で、みんな舌を巻きました。こども、おそるべし、です。

中江裕司監督、萩生田宏治監督、諏訪敦彦監督が勢ぞろいして、こどもたちに当時の話を聞いてくださったり、
ほかの監督たちの作品の感想や、撮影秘話を聞いたり、親密な空気の中でできた1日目でした。

夜のレセプションには家族で参加してくれた子供たち。監督たちの周りにぎゅうぎゅう詰め。諏訪さん、萩生田さん、ご飯たべられたんでしょうか?大 人たちも各地から集ってくれた映画関係者や、ジャーナリストの方々、名刺交換したり(こどもが「わぁ、名刺交換しとる!かっこいい!」と言ってま したね)、あちこちでお話に夢中になっていて、楽しい会になりました。

その後の二次会も盛り上がりました。

中江さん、諏訪さん、萩生田さん、3監督揃い踏み!
で、写真どうやっても横にできなかったです。すみません!誰か治して!

2日目
川崎市での小学校での映画制作ワークショップの取り組みについて、広岡さんがわかりやすく、お話してくださいました。役所に勤めながら、常に市民 の方を向いて、一生懸命にこの試みを実現させていこうと奮闘していらっしゃる姿には頭が下がりました。
仙台市からは“どんちゃん”こと新田新一郎さんが登場! 今回のシンポジウムでは映画畑ではないところから、私が思いいれたっぷりで来ていただき ました。
そのプレゼンをご覧になって、みなさんため息がでるようだったでしょ?!本当にこども主体で考えると、こういうワークショップになるん だ、というお手本だと思います。
http://jiyuugakko.com/
そして、諏訪さんのスタッフとして東京から今年、参加してくれた杉田協士さんのプレゼン。全国各地でさまざまなワークショップを続けてきた杉田さ んは「映画をみんなで作る」ということがその人たちの生活、人生にどんなことをもたらすのか、ということをご自身の経験とともに伝えてくれまし た。それはこどもでも大人でも同じなんですね。

最後、2時間たっぷり使って、監督たち、広岡さん、新田さん、杉田さんに登壇していただき、ディスカッション。
テーマはこれまでの二日間の実践報告を受けたうえで、
・映画教育のありかた
・公教育における映画教育はどうすればいいのか?
に絞られました。
・マニュアル化することで「映画」がどこかに行ってしまっている、今の公教育における映画制作WS。
・マニュアル化できない金沢での「こども映画教室」の良さ、
・作り方、描き方は教えない「アトリエ自遊楽校」の素晴らしさ。
・マニュアルがないと、公的にはなかなかやりにくい、マニュアルがないと広げにくい。

諏訪さん、中江さん、萩生田さんからいくつものキーワードが出てきました。
・議論がまったくなされていないことが問題
・映画教育について、研究をしていく必要がある
・映画と教育は馴染まないのか?いや、映画とは教育そのものだ。行為としての映画制作は人を育てる。(これは映画教室をやっていると本当にそう感 じる)
・間違った方法でやってはいけない(悪しきプロ)
・映画とは何か?を議論していかないと
・こどものための映画教育は「作り方」を教えてはいけない
・精神ののれんわけで、広めていくことはできるはず
などなど、議論は白熱しました。

また、登壇者、参加者のかたがたからのご意見、ご感想をいただいて、なんらかの形に報告をまとめたいと思います。

興奮冷めやらず長くなり、失礼しました。

シネモンド 土肥悦子
(ちなみに、18日から21までパリで開催される「ヨーロッパシネマ」の年に一度の会議に出席、「こども映画教室」について短いプレゼンをしてき ます!)